善玉菌を増やしてバイオフィルムを除去する方法とは

更新日:6 日前


 バイオフィルムとは、微生物が形成する集合体を言い、環境や人体にとって有益なものと有害なものがあります。バイオフィルムは、微生物が形成するバイオフィルムマトリクスという膜で覆われ守られている状態にあり、抗生物質や化学薬品などでの除去が困難なため、有害なバイオフィルムは厄介な問題となっています。

 更に、微生物は地球上における生物の半分を占めていると言われており、有害なバイオフィルムは多様な場所や場面で問題となっています。

 今回のコラムでは、有害なバイオフィルムにはどのようなものがあるのかを解説すると共に、環境や人体に有益な微生物である善玉菌を活用し、それらを除去するという画期的かつ最先端の方法をご紹介致します。



バイオフィルムが形成されるまで

 

 表面に付着した複数の微生物は、互いに影響を及ぼし合う共同体へと段階を経て成長して行きます。第一段階として、微生物はマイクロコロニーと呼ばれる集落を形成します。

 そして次に、マイクロコロニー内の微生物は集落全体を守るための外膜を形成します。このバリア機能を果たす膜は、バイオフィルムマトリクスと呼ばれ、微生物が生成する多糖体、タンパク質、細胞外DNAなどで構成されています。

 バィルムフィルムマトリクスが完成され、環境が安定化すると、その内部にいる複数の微生物達は互いに影響を及ぼしあい、栄養源を融通し合ったり、薬剤・抗生物質などに抵抗力を持つようになり、成熟します。



有害なバイオフィルムとは

 

 私たちの身近にある有害なバイオフィルムは、大きく分けて「生活環境におけるバイオフィルム」と「人体におけるバイオフィルム」の2つがあります。以下にどのようなものがあるのか代表的な例をご紹介致します。



①生活環境におけるバイオフィルム

 生活環境に見られるバイオフィルムの多くが水回りにおけるものです。生活環境におけるバイオフィルムは、衛生面の問題に加え、異臭、目詰まりなどの原因となります。それでは実際にどのような場所に形成されるのでしょうか?


・台所のシンク

 微生物は水分と食べ物のカスなどを栄養分として増殖します。よって、その両方があるシンクでは、バイオフィルムが形成されやすいです。台所のシンクにおける黒ずみやヌメリがバイオフィルムです。


・お風呂のバスタブ

 お風呂場における黒ずみやヌメリも同じくバイオフィルムです。水分そして、石鹸カス、皮脂などの汚れを栄養分として、微生物は増殖します。


・尿石

 尿素と便器表面に生息する雑菌が反応し、形成されるバイオフィルムが尿石です。


・シャワーヘッド

 シャワーヘッドの目詰まりの原因となる水垢も塩素消毒に抵抗力を持ったバイオフィルムです。


・花瓶の内壁

 花を生けた花瓶の表面に見られるヌメリもバイオフィルムです。



②人体におけるバイオフィルム

 バイオフィルムは人間の健康にも影響を及ぼします。以下にバイオフィルムの代表例をご紹介致します。


・歯垢(プラーク)

 プラークは白色もしくは黄白色のネバネバした物質です。食べカスだと思っている方も多いかもしれませんが、微生物とその代謝物のかたまりで1mgに300種類1億個以上の細菌が存在していると言われています。食事からプラークが形成されるまでの時間は所説ありますが、4~12時間程度であると言われています。


・歯石

 歯垢(プラーク)が唾液に含まれるカリウムやリン酸などと反応し石灰化して硬くなったものが歯石です。プラークはおよそ2週間で歯石になると言われています。歯石の表面は、凹凸があるので、そこに微生物が繁殖しやすく、歯周病の原因になります。


・虫歯

 歯の表面についた歯垢(プラーク)に、ミュータンス菌が付着し、糖分を栄養にして代謝をします。その時に生成される酸が歯を溶かし、虫歯となります。


・荒れた手指にできるバイオフィルム

 肌荒れの原因となる黄色ブドウ球菌は荒れた手指の傷口に吸着、そして繁殖しバイオフィルムを形成します。黄色ブドウ球菌の生成する毒素は、肌荒れを更に悪化させます。それに加え、バイオフィルムによって保護された黄色ブドウ球菌は、殺菌、消毒したつもりでも生き残り、食中毒などの感染のリスクが高まります。



善玉菌を増やしてバイオフィルムを除去する最先端の方法とは

 

 バイオフィルムを除去する従来の方法は、化学系洗浄剤を使用し、表面に付着した微生物を『殺菌する』『除去する』という方法でした。しかしながら、微生物は時間の経過と共に、その化学薬品に対して耐性を持つようになり、より強い薬剤での処理が必要になります。更に微生物がバイオフィルムを一旦形成してしまうと、耐性が強化され化学薬品での除去が困難になってしまいます。これが、身近なところで見られる、台所やふろ場のヌメリや   黒ずみ、トイレの尿石など、なかなか除去できない汚れです。

 このような化学洗浄剤の問題を解決する方法として、近年、新たに注目されているのが、善玉菌を増やすという衛生管理方法です。バイオフィルムが未だ形成されていない表面においては、高濃度の善玉菌を含んだ洗浄剤で処理することで良い菌を定着させ、表面積に対して数の力で他の微生物を『駆逐する』という方法です。

 一方、バイオフィルムが既に形成された表面では、善玉菌が代謝をすることで生成される酵素でバイオフィルムマトリクスを『分解する』という方法です。バイオフィルムのバリア機能が破壊されるので、内部の微生物を直接処理することができるようになるので、バイオフィルムを元から除去することができます。 また善玉菌は分解されたバイオフィルムを消費して増え、その表面を支配、そして定着します。更に、善玉菌が生成する酵素は、天然の界面活性剤であるため、微生物が耐性を持つことがないので、持続的かつ環境に配慮した衛生管理を行うことができます。



善玉菌を増やす衛生管理方法を成功させるポイントとは

 

 善玉菌を増やすことによる衛生管理方法を成功させるには、適切な洗浄剤を選ぶ必要があります。洗浄剤を選ぶポイントは以下の3つです。


・ポイント1:活きた善玉菌の入った洗浄剤を選ぶ

「善玉菌を含んだ洗浄剤」と謳ったバイオ洗浄剤の中には、善玉菌の抽出物のみを含有しているものもあります。処理した表面において、善玉菌を定着させ、増やすためには、活きた善玉菌を含んだ洗浄剤を選ぶことがポイントです。


・ポイント2:善玉菌の含有濃度が充分な洗浄剤を選ぶ

 先に述べたように、害のある微生物を数の力で駆逐するという方法なので、善玉菌を高濃度に含んだ洗浄剤を選ぶことがポイントです。


・ポイント3:善玉菌が複数種類含まれた洗浄剤を選ぶ

 善玉菌は活きているため、温度、湿度などの環境によって効果が左右されやすいです。そこで、異なる特性を持った善玉菌を複数種類組み合わせた洗浄剤を選ぶことで安定した効果が得られます。



善玉菌を増やす衛生管理方法の実験結果

 

 以下に上記条件を満たした善玉菌洗浄剤を使って行われた実験結果をご紹介致します。


研究論文

「マイアミ ユダヤ教病院における善玉菌を活用した衛生管理方法の研究」(2008年)


研究者

 ベルギークリサル社R&D


研究目的

 善玉菌を増やすことでバイオフィルムを除去できるかの実験


実験場所

 病院内のトイレ床


使用製品

 グランバイオシリーズ(善玉菌を含んだ洗浄剤)


実験方法

 病院の床を毎日、ブランバイオシリーズで清掃


実験期間

 3カ月間


効果/結果

【清掃開始前】

 化学薬品で毎日洗浄していた時:タイルにバイオフィルムが形成されてくすんだ状態


【清掃開始3カ月後】

3カ月間善玉菌洗浄を実施:くすみの原因となっていたバイオフィルムが除去されタイル本来の色が見える状態に




同実験から、一定条件を満たした善玉菌洗浄剤は、継続して使用することで、バイオフィルムを分解することが明らかになりました。


日本においては、未だに化学薬品を使用して菌を『殺菌する』『除去する』という考え方が一般的です。しかしながら、同実験は既に2008年に行われており、欧米では、善玉菌による衛生管理方法が、急速に拡大しています。今後、日本においても、SDGsという観点からも善玉菌洗浄剤による衛生管理への対応が求められると予想されています。



 

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