数年に渡るコロナ禍という状況の中、新たなワクチンや医薬品が数多く開発されました。一方で、『ヒトの本来持つ自然な免疫力を高める』ということへの関心が急速に高まったと言われています。特に、腸内環境を善玉菌で整えるという考え方が広く浸透し、多様な飲料や食品が日常的に消費されるようになりました。
実は、このような生きた菌、すなわち微生物は、私たちの腸内だけではなく体の様々な箇所、更には生活環境にも存在しています。
今回のコラムでは、この微生物が共存する世界をより詳しく掘り下げてご紹介しようと思います。
マイクロバイオームとは?
「腸内フローラ」は馴染みが深いかと思いますが、「マイクロバイオーム」という言葉は聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか?一言で言うと「腸内フローラ」は「マイクロバイオーム」の一種です。
「マイクロバイオーム」という言葉は、ノーベル生理学・医学賞を受賞したアメリカの分子生物学者ジョシュア・レダーバーグ等が発表した論文で初めて使われ、「常在菌、共生菌、病原性微生物での生態系コミュニティである」と定義されました。 つまり、マイクロバイオームとは、多様な微生物の集合体であり、そのことから『微生物叢』とも呼ばれています。
マイクロバイオームは、ヒトや動物、植物などの生物から、土壌、水、大気などの環境中まであらゆるところに存在していますが、そこに生息する菌や構成はそれぞれ大きく異なります。
ヒトマイクロバイオームとは?
ヒトマイクロバイオームとは、人間に存在する微生物のコミュニティです。胃腸、口腔、皮膚、気道、泌尿生殖器など、外部と直接接触する部分や、体外と通じているところに多く存在し、病原菌の侵入を防いだり、消化を助けるなど人体にとって大切な役割を担っています。
有菌部分がある一方、健康なヒトの場合、脳、心臓、腎臓などの臓器は無菌部分で微生物は存在しません。コアとなる臓器に微生物が存在しないにも関わらず、ヒトには少なくとも人体には100兆個を超える数の微生物が存在し、その重さは体重の3%にもなると言われています。ヒトの細胞数が約37兆個とされているので、自身の細胞より2倍以上多くの微生物と共存して生活していることになります。
更にヒトに存在する微生物は、1万種以上あるとも言われており、生命を営む上で、自身のDNAと同じくらい重要だという学説も立てられるようになっています。
(参照元:「マイクロバイオームとは」美しく生きるコミッティ/「人体と微生物の関係」株式会社 衛生微生物研究センター)
ヒトのマイクロバイオームが形成されるまで
ヒトのマイクロバイオームは、生活環境が似通った親子、兄弟でもそれぞれ異なると言われていますが、どのようにして形成されるのでしょうか?先ほど述べたように、人体には無菌部分があり、母親の子宮内もそうです。ですので、胎児は無菌状態にあり、産道で母親のマイクロバイオームに最初に触れ、続いて空気や食べ物(乳)、周囲の人との接触などを通じて多くの微生物を取り入れ、成長につれて安定していき、独自のマイクロバイオームが形成されます。
(参照元:「マイクロバイオームとは」美しく生きるコミッティ/「人体と微生物の関係」株式会社 衛生微生物研究センター)
マイクロバイオームが人体に与える影響
マイクロバイオームの環境が良い状態、すなわち菌バランスを良好に維持できれば、ヒトの健康も維持できると言われています。つまり逆を言えば、マイクロバイオームが乱れると病気につながることが明らかになっています。最近の研究によりますと、以下のような様々な疾患や病態にマイクロバイオームの乱れが関連していることが分かってきました。
【マイクロバイオームの乱れが原因で起こる疾患】
・不眠
・うつ病
・自閉症
・パーキンソン病
・動脈硬化
・糖尿病
・肥満
・炎症性腸疾患
・リウマチ
・肌荒れ
・アトピー性皮膚炎
など
(参照元:「医療を変える「マイクロバイオーム」」シスメック学術セミナー/「私たちは食べたものでできている:AIとヒトマイクロバイオーム」マイクロン)
それでは、マイクロバイオームはなぜ乱れるのでしょうか?マイクロバイオームが乱れる主な原因として、運動不足、ライフスタタイルの乱れ、睡眠不足、偏った食生活、加工食品の過剰摂取、喫煙、ストレス、紫外線などが考えられています。
逆を言えば、マイクロバイオームを良好に保つ秘訣とは、健康的なライフスタイル、食生活であり、そのことが免疫力を高めることにつながるという実にシンプルなことなのです。しかしながら、それを実行するのはなかなか難しいというのが現代人です。そこで、マイクロバイオームを整える食品・飲料、化粧品、洗浄・消臭剤などの多様な製品を生活に取り入れて行くことが重要です。
まとめ
まだ証明されていない部分も多いマイクロバイオームと免疫力の関係ですが、近年の研究では、マイクロバイオームのバランスに加え、菌の多様性も免疫力にプラスの影響を与えると言われています。人間社会においても多様性が重要視される昨今、ミクロの世界で起きていることはマクロの世界とも関連性があるのかもしれませんね。
(参照元:ヒトは身体は微生物だらけ:マイクロバイオームおとなとこどものクリニック)
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